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徒然なるままに妄想を吐き出します。
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たまにはかわいらしいお話を。
政兼です。



 *****
大きなお屋敷の広いお庭。そこに面している長く広い縁側で、猫のように寄り添って眠る漆黒の髪と茶色の髪。二人は縁側で茶菓子を食べながらのんびりと話をしていたのだが、暖かな光と穏やかな風によって眠りの世界に誘われてしまったのだ。

「ああ、眠っておったのか」
先に眠りの世界から戻ってきたのは、茶色の髪を持つ政宗の方。
ひとつしかない目をこすりながら身を起こす。
雲ひとつない青空を一瞥してから、隣で未だ眠りの世界の住人の漆黒の髪を持つ兼続を見下ろす。
滅多に見ることのできない寝顔に、思わず顔がゆるんでしまう。
額にかかる髪に触れる。癖のない真っ直ぐな髪が羨ましい。
こうして髪に触れるのが政宗は好きなのだ。
形のいい額があらわになり、口付けたい衝動に駆られる。
政宗が身をかがめて顔を近付けると、兼続の瞼が少しずつ開き始めた。
「おはようじゃのう」
口付けができず少々残念だが、とびっきりの笑顔で眠りの世界から戻ってきた彼を出迎える。
眠気眼をぱちぱちとするその仕草が実年齢よりも幼くて愛らしい。
誘うように腕が伸びてきたので、政宗は再び横になる。すると両頬を包まれて。
「ふふっ。そなたは夢の中でも私の髪に触れるのが好きなのだな」
どのような夢を見ていたのだろう。
顔に出てしまったのか、兼続は答えてくれた。
「珍しくそなたが膝枕をしてくれたのだ。いろいろと話をしていたのだが、そなたはずっと私の髪に触れていたな」
「貴様はどうなのじゃ。貴様とて儂の夢の中でこの右目を、現と同じように愛でるではないか」
「それではお相子だな」
夢も現も関係ない。政宗は兼続の全てが愛おしいし、兼続は政宗の全てが愛おしい。それでいい。
くすくすと二人で笑う。それがとても幸せで。

いがみ合うことしかできなかった頃を考えると、このような時間を過ごすことができるようになるなんて、とうてい思えなかった。
しかし、二人は手に入れることができた。
このような幸せな時間がずっと続きますように。
そう願う二人を、暖かな光と穏やかな風は微笑ましく包んでいた。

2010/07/19up

恥ずかしいくらい甘い政兼です。
こんなべた甘な話、ひさしぶりですよ。

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