忍者ブログ
徒然なるままに妄想を吐き出します。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『君の「ホント」を知ってるよ』の続きで兼続と政宗編です。



 *****
孫策の買い物のあと、お茶処で一服した孫策と左近は政宗と兼続を残して孫呉の拠点に戻っていった。政宗と兼続も少しだけ遠回りをして、自軍へ帰ることにした。
その帰り道で、兼続が政宗に尋ねた。
「そう言えば、先程は左近と何を見ていたのだ?」
兼続が孫策と市場ので店を回っている間、政宗は左近と行動を共にしていたのだ。
「うむ。これを買うていたのじゃ」
政宗は懐の中から小さな箱を取り出し、兼続の手に握らせた。
「私に?」
「そうじゃ」
「開けてもよいか?」
いつも政宗の前では硬い表情の兼続が、心なしか柔らかくなったような気がする。
誰もいない道端で二人立ち止まる。傾き始めた日が二人を包む。
「その、あれじゃ。貴様に似合うと思ったのじゃ」
兼続の手には、両端に翡翠の石細工が施された結い紐。
「・・・・・・どうしたのじゃ?」
兼続が結い紐を見つめたまま黙ってしまったので、政宗は兼続の顔を覗き込んだ。
「気に入らんかったか?」
政宗がそう言うと、兼続は頭を横に振った。
「違う。嬉しくて・・・・・・」
両手で結い紐をぎゅっと握りしめて嬉しさを噛み締めている兼続を、政宗はここが外であることを忘れて正面から抱き寄せる。
背の高い兼続のあごが政宗の左の肩の上に乗る。滅多に甘えてこない兼続が甘えてくるときによくする行動で、普段ならここまでが精一杯だ。
しかし、おずおずと兼続の両腕が政宗の背中に回る。兼続自ら政宗にぴったりと寄り添う。珍しいことだ。
政宗の視界の隅に真っ赤になった兼続の耳が入ってくる。
「今日、孫策殿と左近を見ていて思ったのだ。こうして、共に入られることを感謝しなければならないと」
孫策と左近は遠呂智が創り出したこの世界で出会った。遠呂智亡きあと、いつこの世界が再び元に戻るか分からない。
もし、世界が元に戻るとしたら、孫策と左近には別れが待っている。
「私たちは元々は同じ世界の、同じ時代の人間だ。戻るときは、きっと共に戻ることになるだろう。だけどあの二人は違うのだ」
だから孫策は左近の名前をたくさん呼ぶのだ。
「・・・・・・まさむね」
「うむ」
「まさむね」
「兼続。好きじゃ。儂も孫策を見ていて思った。素直になろうとな」
今まできちんと伝えたことがなかった。ただ何となく一緒にいた。契りを結んでも、心は結びきれていなかった。
「私も、政宗のことが好きだ」
政宗は頷き、兼続をさらに抱き締めるのだった。

2010/09/14
2010/11/6加筆修正up

拍手

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
[39] [38] [37] [36] [35] [34] [33] [32] [31] [30] [29]
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
バーコード
カウンター
忍者ブログ / [PR]
/ Template by Z.Zone